人力検索はてな - 「涼宮ハルヒの憂鬱」って何でこんなに騒がれてるんですか?(hatena.ne.jp)

アニメ本体の出来から、販売戦略まで含めた話として。

1)原作を殆ど改変せず、原作読者を敵に回さなかった
2)アニメーションとしてのクオリティで未読者を引き込んだ
3)楽曲を真面目に作る事によってアニメ視聴者層以外も取り込んだ
4)以上の効果によりさらに外部の層にも影響を及ぼした

これがいかに真摯に制作されたかという、クオリティの問題だったと考える。ネタ云々以前の話。

5)細かいネタ(パロディなどなど)を散りばめて話題を持続させた
6)大きなネタ(時系列シャッフル)を並べて興味を持続させた
7)元々のキャラクターやストーリーの設定がネタを許容するものであった

ネタ云々の話。とにかくツッコミどころの多いアニメだったので、言及する内容が幾らでもあった。また第1話からそれを表現してしまい「これはこういうアニメなんだ」と視聴者にある程度の覚悟を促した点もあるかな。

8)導入は萌え学園ストーリーに見せかけ
9)中盤でSFに移行したと見せかけ
10)ラストでジュブナイルに落とす
11)以上の流れの中で、やたらとメタな読み込みが可能

ストーリーとしては、ぶっちゃけ単なるラブコメと言っていい。それを叙述トリックを用いて最後まで隠し通す代わりに、萌えだのSFだのを提示する。こういう作りだと、浅読み深読み共に可能で、広い層に説得力をもたらしている。

12)朝比奈みくるという萌え層に訴えるステロタイプなキャラ
13)長門有希という萌え層に訴えるステロタイプなキャラ
14)涼宮ハルヒという、上記2者に比べればまだ現実に近く、しかし理解が難解なキャラ

これもまたトリック。とにかくこの話は、キャラクターの内面を視聴者に見せていない。その「見せない」ことに気付けると、一気に面白くなる。ただアニメにおいては原作のような叙述トリックが使えず(ビジュアルで見えてしまうからね)、それが「ハルヒ推し」という既読者の評価に繋がっている。これは元々こういうモンでした。

15)時系列シャッフルを利用した理解の促進

原作は小説である上に、上記8)〜10)のトリックを用いる為にとんでもなく長文の解説が入ったりする。また、それを読み解けないと展開があまりに急すぎるような印象を受ける。それを和らげて理解を促す為のシャッフルであったという見方が可能で、これは実は視聴者に優しい見せ方だった。

16)周辺展開の説得力

よく、単に視聴者から金を搾取する方法と言われてしまう周辺展開が、あまりのクオリティの高さで力推しに納得させてしまった。アニメ内で歌い→直後にCDのコマーシャル、といういかにもな流れであるにも関わらず「これは買ってもいいや」という印象を与えるくらいにとんでもない出来だった。これはDVD自体の販売数にも現れている。

17)上記すべてが連動して発生した祭り効果

言わずもがな。文句を付けるところがストーリーにしか無く、それすら言及として取り込んでしまう程の勢いがあった。特定の場所で祭っただけという理解が誤っているのは、そこいらの言及数を見れば一目瞭然なんじゃないかな。あとAnimeNfo.Com(animenfo.com)なんかを見てみると面白いかも。……こいつらは言い過ぎだと思うけどなw

何はともあれ、販売戦略(Win-Winの構図)としては非常に正しく好感の持てるものであった。そしてだからこそ祭る意義もあったかと思うのだ。